過去を巡る 〜20代後半④〜
ちょうどその頃、会社で一緒に仕事をしている同い年の女性から人生相談を受けるようになりました。
その人はEさんという名前で既婚者、子育てをしながら派遣社員として働いてる方でした。
先に結果を書くとEさんとはひどい不倫関係に陥ってしまいました。
この不倫の期間は数ヶ月続き、不倫というからには当然お互いだけの問題ではなく、妻やEさんの配偶者、それぞれの親などを巻き込む騒動となり、多くの人に本当に大きな迷惑をかけてしまいました。
これは人生最大の後悔となる出来事となりました。
事のきっかけとしては仕事中にEさんと雑談してる時に、Eさんが精神的に苦しんで毎日泣いているという話を聞いたところから始まりました。
一体何があって毎日泣くはめになったのか?と色々突っ込んで聞いていくうちに仕事仲間以上の関係になってしまったのです。
精神的に苦しんでると聞いた以上は「どうにかしないといけない」と思い焦って手を差し伸べたわけですが、自分や相手も既婚者であるので、その置かれた立場や環境を考えると安易に首を突っ込むべきではなかったと反省しています。
Eさんはご主人からのモラハラを受けていて、そのストレスや疲れが原因で体調を崩していました。途中から心療内科にも通っていました。
前回までの記事の通り自分自身も家庭生活が上手くいっていなかったので、互いの身の上話をしてるうちに、それぞれの家庭で離婚をして自分達が再婚すれば収まりがいいのではないか?という運びになりました。第三者から見れば絵空事に見えるストーリーですが、当時は本気でそれを望んで行動していました。
ただ現実はやはりスムーズにいくはずはなく…。
Eさんには小さな子供が一人いて、何度かその子にも会ってみたのですが、残念ながらどうしても好きになれませんでした。これが例のモラハラ夫の子なのかと思うと可愛げを感じることができませんでしたし、なんなら泣いている姿を見てうるさいなぁとすら思ってしまいました。
もし再婚するならこの子がついてくるんだな、血の繋がりのない愛情を感じられないこの子と毎日一緒に過ごし、ご飯を作ったりお風呂に入れたり病気の際は看病し、反抗期になれば暴言を吐かれるんだろうなぁと思うと再婚に踏み切っていいものか考えものでした。
加えて妻は何ヶ月経っても離婚に応じてくれませんでした。
そのうちにEさんからは「いつになったらあなたは離婚するのか。うちの家はいつでも離婚できるというのに。いっそのこと離婚成立前から同棲を開始して無理やり自分達の家庭を作ってしまわないか?」という行き過ぎた提案をされるようになり、ただでさえおかしくなっていた自分の頭がEさんの強いプレッシャーで余計に狂っていくのを感じました。
一方で、妻に対しては慰謝料を払ってでも離婚しないと、このままでは自分の人生は不幸なままだとも思っていました。
やがて妻には「好きな人がいるから別れてほしい」とストレートに打ち開けました。
妻はまだ20代半ばでしたし、子供もいないし、これだけ見た目も美しいので必ず新しい男性は見つかると思いました。妻を幸せにする相手は自分ではないと思いました。
好きな人がいると言われた時の妻のショックは計り知れないだろうと思います。本当に申し訳ないことをしました。
ただ、それでも妻は離婚はしないと言い切りました。
余程強い意思だと思います…。
そこで自分はとうとう離婚することを諦めました。
Eさんには「うちは離婚することはできない、だからEさんとは一緒になれない、このまま付き合っても仕方ないのでお別れしたい」と言いました。
Eさんは怒ってまたプレッシャーをかけてきたり、あるいは泣き落とししてきたり、手を替え品を替えどうにか考えを改めさせようと奮闘しましたが、希望が叶わないと分かると「じゃあうちも離婚しない」とあっさり引き下がりました。
あれほどモラハラ夫が嫌だ、シングルマザーになってでも離婚すると豪語していたのに。
その後EさんからはLINEをブロックされ、勤めていた会社も退職してしまい、消息は分からなくなりました。
今でもモラハラに苦しめられているのか、あるいは2人目の子供を産んで幸せを取り戻したのか、はたまた別の人と不倫をしているのか…。
いずれにせよもう関わることはないと思いますし詮索するつもりもありません。
当時Eさんは自分のことをどれだけ愛していたのでしょうか。本当は愛してくれていたわけではなく、単に配偶者として条件の良い物件に乗り換えようとしていただけなのでしょうか。
Eさんの愛情とは何だったのだろう、あの数ヶ月の苦しみは何だったのだろう、と考えると胸が詰まるような気持ちがします。
冒頭でも書いたようにこの不倫騒動は多くの人を巻き込んで散々迷惑をかけた上に誰も幸せになることもなく終わりを迎えました。
親にも激怒され、夫婦関係を改善して再構築するように促されました。