過去を巡る 〜小学二年生①〜
小学2年生の夏、引っ越しをして福岡に戻ることになりました。
またしても慣れた土地や友達とお別れをしなければならず、親に対しては引っ越ししたくないと抵抗しましたが、それに効力はありませんでした。
親の都合で人生を振り回されて、子供にとって転勤は理不尽な出来事だなと思います。
転勤があるなら父だけ単身赴任すればいいじゃないか、と考えるのは自分が父のことが嫌いだからでしょうか。
たった数年東京に住んでいただけですっかり博多弁も忘れてしまっていて、回りの人が話すそれはまるで異国の言葉を聞いているような不思議な気持ちがしました。
と同時に、引越し先の家は以前住んでいたマンションでしたので見覚えのある街の景色に懐かしさも感じました。
幼なじみのCちゃんも変わらず同じマンションに住んでいたので、再会することができました。
ただ、学校生活は順調ではなく、ほどなくして福岡の地でもイジメを受けることになりました。
例によって母に相談しましたが、例によって自分で解決しろと言われて終わりました。
たくさん泣いたのを覚えています。
うちの両親はプロ野球ファンで、地元の球団であるダイエーホークスを熱心に応援していました。
それで子供にも野球をしてもらいたかったようで、自分は特に強い興味があるわけではなかったですが、小学2年生から野球を始めることになり、毎週土曜日に学校のグラウンドで行われていた野球教室に入会しました。
野球の練習はとても辛いもので、ルールは分からないし回りの子は乱暴だし、コーチや監督も好きではなく、朝は早いし夏は暑いし冬は寒いし、ノックは後逸するし、フライは太陽光が眩しくボールを見失うことも多々ありました。
それでも通い続けたのは親の期待に応えたい、褒められたい、認められたいという気持ちがあったからだと思います。