過去を巡る 〜小学一年生③〜
当時、小学校のクラスメイトからイジメを受けていました。
どこの学校にも乱暴でガキ大将のような子がいますよね。自分はそういう子から暴力や暴言を受けていました。
体も細く内気な性格をしていましたからイジメの対象になりやすかったのかもしれません。
乱暴をやめてほしくても立ち向かう力も勇気もありませんでした。しばらく悩みましたが、イジメられていることを母に打ち明けることにしました。その時は何かしら救ってくれると思っていました。
でも、ここで母は助けてくれませんでした。
母「イジメをやめてほしかったら本人に直接言いなさい。」
自分「言ったけどやめてくれない。」
母「じゃあその子の親に言いなさい。」
なぜこのようなことを言い出したのでしょうか…やはり男の子は強く育ってほしいという思いがあったのでしょうか。
子供を守りたいという気持ちより、逞しくしっかりしてほしいという気持ちの方が勝っていたのかもしれません。
今思うとこの母の要求はだいぶ無茶がありますし、また、解決のための最適な手段ではなかったと思います。親同士で話し合う、学校の担任に相談する、教育委員会に頼るなど、いくつか選択肢はあったはずです。
でも子自身には親に泣きつく以外の選択肢なんてありません。
母の要求を受けてどうしたかというと、言われるがまま本当にイジメっ子の母親に直談判をしに行ったのでした。
母はついてきてくれませんでしたので一人での戦いとなりました。
「僕のことをいじめるのをやめてほしいです」
知らない大人にそう伝えることは細く小さな体に対して多大なエネルギーを要しました。
しかし努力は報われませんでした。
「うちの子がイジメ?まさか。ないない。」
必死の訴えは真面目に受け止められることはなく、笑われ、ほんの数秒で終わったのでした。
それはイジメの解決に何も意味を為さないばかりか、ただいたずらに心に傷跡を残すだけの出来事となりました。