過去を巡る 〜小学六年生②〜
塾では難易度の高い問題ばかり解いていましたし、日々の努力もありましたので、小学校では学年で1番成績が良く、テストでは全ての科目で100点が当たり前でした。
しかし自分は陰キャだったわけで、成績がいいことはクラスの友達には知られていませんでした。
いくら努力しても認められないことに対する不満、不全感はギリギリのところまで高まっていました。
2月。努力の甲斐あって中学入試では無事に志望校に合格することができ、3年に渡る長い受験生活がやっと終わりを迎えました。
1番喜んでいたのはやはり母でした。この時の父に関する記憶は皆無です。
自分は受験後はとにかく友達と遊んだりゲームをしたり漫画を読んだりテレビを見たり、失われた小学生としての時間を取り戻すことに必死でしたから、合格の報せを聞いた5分後には既にみどりのマキバオーを読むことに集中していました。
母は子供の合格のリアクションがあまりにあっさりしているのを見て「え?それだけ?」と驚いていました。
自分にとって志望校に合格するのはあくまで手段であり、誰かに(主に母に)認められることが目的であったのだと思います。
また、そういった承認欲求を満たす以外ではやはり小学生らしい時間の過ごし方を欲していたのだと思います。
合格発表の後に悲しかったことは、母からは志望校に合格したことはあまり喜んではいけない、なぜなら不合格だった子もいるから。と言われたため、小学校の友達に対して合格したことを発表することはできませんでしたし、誰に対しても喜びを伝えることは許されませんでした。
自慢したい気持ちの抑圧。合格してもなお我慢が強いられました。この時の悲しさと悔しさは今でも忘れません。