桃源郷

境界性パーソナリティ障害 愛着障害 うつ病 精神疾患と向き合うブログです。

過去を巡る 〜大学時代④〜

大学4年になると就職活動が本格化しました。


自分は地元福岡に戻って就職し、故郷で生きていくつもりでいました。

付き合っていた彼女がいること、小中高の思い出の地であること、親孝行しなければならないという思い、食事の美味しさ、方言を使って話すことができること、ソフトバンクホークスの存在など、とても魅力に溢れた土地です。

 

ただ、強い地元愛があったにも関わらず特に就きたい職業があったわけでも勤めたい会社があったわけではありませんでした。
正直、どんなところに就職しても60歳の定年を迎えるまでは延々と長い長いトンネルを走り続けるだけの人生になるであろうという予感がありました。将来に夢や希望はありませんでした。

 

そんな中、ある企業の会社説明会にとても惹かれました。
そこはバイクの開発・生産・販売をしている会社です。自分の趣味がバイクに乗ることだったため、何となく…の気持ちで訪れた説明会でした。
その説明会は一流ホテルの大広間で行われ、自社製品を並べて展示してあり、とりわけ一台で億を超える金額のMotoGPマシンを生で間近で見ることができたこと、煌びやかな雰囲気にも関わらずフランクな社員たち、学生一人一人にペットボトルを配るなど細かいところまで学生を歓迎する空気に溢れていました。

こんな会社で働けたら夢のようだな、とその時思いました。

 

そして4月早々の段階でこの会社から内定の連絡を受けることになります。


どの会社の説明を聞いてもピンとこなかった自分が初めて興味を持った会社から内定をもらえるなんて不思議な縁があるものだなと思います。

 

ただ問題なのはこの会社が地元福岡ではなく静岡県にあったことでした。

しかも支社や営業所もない会社なので、ここに就職するということは60歳まで地元に帰ることができないことを意味していました。

地元からは遠く、彼女とも遠く離れ、友人や仲間とも離れ、誰一人として知る人のいない静岡の地。
それでも自分はここで生きていくことを決めました。

 

ずっと親に敷いてもらったレールを走り続けて生きてきた自分が自立した瞬間かもしれません。